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ツネ語ログ

ツネザワシ(Tsunezawashi )です!漢字教育士をやってます。

【藤堂明保】『漢字の話 上』読後の覚え書き

こんばんは。ツネザワシです。

あっという間に12月半ば。師走です。

皆様はいかがお過ごしでしょうか。

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今回はタイトルにもある、『漢字の話 上』を読み、思ったことをつらつら、すらすら書いていきます。

 漢字界のドン?藤堂明保

この『漢字の話 上』は、藤堂明保、このブログでもちらほら出てきていましたが、そう藤堂先生によって著されました。

藤堂先生って誰よ、と言われて端的に答えるのであれば……漢字の偉い人ですね!

 

残念ながらすでに亡くなっている方なのですが……東大で教鞭をとり(本人も東大卒)、

テレビで講義活動したり、辞書も編纂したり、多方面で活躍されてた訳です。

85年に亡くなっているので、僕は藤堂先生とまったく生きた時代が被っていない訳ですが、とにかく氏の影響力というのは強く感じます。

というのも、やはり漢字学習において、氏の展開する説というのが、スタンダード(というと語弊があるのかも知れないですが……)なんですね。

 

今回の『漢字の話 上』にも、先生の学説「単語家族説」に則って、様々な漢字たちが解説されてます。

 

『漢字の話 上』は86年発行。割と古い……!

ところでこちらの一冊は、86年に発行されたものですから、相当古いものです。

30年前を相当古いと表現してしまうと、多方面から怒られそうなので、バックトゥーザフューチャーやスターウォーズ、ターミネーターなど、名だたる作品たちと同じ時代!とイイ感じの表現をしておきます。

www.youtube.com

メタリカ、アンスラックス、スレイヤー、メガデス、この辺のヘヴィメタル四天王も同じころですよね?話がズレるので、あまり言及しませんが。。。

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文章が続くので、音楽とともに、どうぞ。

 

辞書みたいなんだけど、解説タップリ

こちらの上巻では、ケモノ、トリ、サカナ、虫、各要素を持つ漢字が、これでもかっと解説されてます。なお上があれば下もありますが、それはまた後日。

犬、馬、牛、羊といった動物の字。そして、ケモノ偏の独・牡・牝……とにかく解説される字はジャンルに分かれておりますが、メジャーな字からマイナーなものまで、多種多様です。

辞書のように解説をするのではなく、氏の豊富な知識で味付けされており、例えば犬の項目であれば、鳴き声から中国での食習慣、さらには犬を使った悪口、歴史なども踏まえ、コラムのように、幅広く解説されているのです。余談ではありますが、犬の肉は鯨肉よりは、おいしいそうです。犬饅にするそうな。イヌマン、って、なかなか日本ではお目に掛かれない代物でしょうね。。。

 

とこれだけ書くと、ただの漢字コラム、なんでしょうが、やはり本書の本懐というのは、単語家族説にあるのではないでしょうか。

藤堂先生は、上述のとおり、単語家族説というものを持論としています。これは、漢字の持つ「音」がポイントであり、同じ音も持つ漢字同士であれば、共通の意味を持つ、意味の関連性があるという説なんです。

勿論、今我々が使っている漢字の音(=音読み)と、中国で使われている音というのは、似たようなものもあれば、全然違うものもあります。当然、古代中国の音韻というのもあるので、この認識は大前提で必要ですが……氏もその辺に関しては、本書ではザックリとしか書いていません。

まあ古代中国の音韻研究ともなると、それこそどれだけの知識を要求されるのやら。。。僕に至っては、現代中国語すら学んでおりませんので、「音」の話をされても???となってしまうのが現実です。。。

 

単語家族説の一例をご紹介!

閑話休題し、単語家族説の一例を出しましょう。

「魚」という字、さかな・うお というのは訓読みですが、音読みでは「ギョ」。

このギョという音が、防御の「御」にも繋がっていると。これだけ聞いてもあまりピンと来ないですよね。ギョギョ!

さて魚というのは、骨が全身に張り出ています。また中国では「硬い」ということを表現するのに、「鯁」という魚偏の漢字を使うこともあるそうです。古代の中国人は、魚は硬いシンの骨が通っているものだと意識していたのだろう、と氏も解釈しています、

そして「御」ですが、この字も音読みでは、ギョですよね。この字の右側は、シンのある穀物を固い杵でつく姿であり、「防御」以外にも「制御」「馬を御する」などと使われます。杵でつくように、つきならすことだと。

防御は古くは「防禦」と書きました。これはバリケードを築くことです。固いシン棒(=心棒)を縦横に組んで張り出すことです。

そう、ここまで書くとピンと来るかと思います。

魚・御・禦の3つの字には、ギョという共通の音があり、固いシンが張っているという共通の意味があるのです。これが単語家族説です。

 

白川先生とは大きく異なる漢字解釈

藤堂先生の漢字解釈は、かの白川静とは全く異なります。白川先生は古代中国で行われていた呪術や儀礼などを重要視しており、また文字の形、それこそ甲骨文字・金文をとりわけ取り上げておりましたから、漢字の音で解釈を行う藤堂先生とは、それはまあ異

 

なった解釈になる訳です。

 

別の話にはなりますが、両氏は立場を全く譲らず、お互いに「何言ってんだお前」状態でバトルすることになるのですが……それは今回はあまり触れず、別の機会にお話ししましょう!

漢字学会では派閥なんかもあるようで、さらには、2ちゃんねるでは専用スレが立つぐらいです。解釈というのは難しいのですねえ。。。

なお、白川静の文字解釈については、本ブログでも度々取り上げています。また甲骨文字・金文については、是非過去の記事も参照してください笑!

 

 

 それでは今回はこのへんで!

 

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参考文献

『漢字の話 上』:藤堂明保著、朝日選書