ツネ語ログ

ツネザワシ(Tsunezawashi )です!漢字教育士をやってます。

「お化け浮世絵展」を見てきました!

「開催初日に行ってきました。ミーハーなのね。」

過日は、京都駅の伊勢丹で行われている、お化けの浮世絵展に行ったとさ。
正式なタイトルは「奇々怪々 お化け浮世絵展」という、そこそこストレートなタイトルである。

あ、ネタバレというか、感想なので、これから見に行く人はまだ読まない方ががいいかも。
まあ、読んでもそんなに変わらないとは思うけどね。

お化け、と言っていますが、実際は幽霊・お化け・妖怪というカテゴリー分けが出来るのかな、と思います。
まあ、厳密な違いは何だ?という話ですが…。
幽霊は人に憑く、妖怪は土地に憑く、というカンジだったと思います。

幽霊は、恨みを持っているため、その恨みの対象がどこへ行こうとトコトン憑いていきます。
(実際憑かれたワケじゃないので詳細は知りません。でも人に憑くってコトはそういうコトですよね。)

一方妖怪は、ある土地に棲息するため、特定のエリアにしかいない訳です。
ポ●モンみたいですね。
妖怪の棲息地がマッピングされてるぐらいですし。
河童に会いに行くなら…遠野!って感じ。
(ただし河童伝承はその他各地であります。)

今回のこの展示では、江戸時代の浮世絵が色々展示されております。
それこそ、葛飾北斎、あと歌川広重(その他歌川シリーズの方々。一派)、名前不詳の方々、様々です。
すんません、あんまり作者覚えていないです。
会場ではメモ禁止だったので許してね(._.)


結構作品は多岐に及んでましたね。
正直こじんまりしてるんだろな~子供騙しだろな~なんて勝手に思ってましたが、
可也楽しめました。あ、でも比較的年齢層上且つこの手のモノが好きじゃないと楽しめないかも。

例えば、お岩さん。あと播州皿屋敷、こちらはお菊さん。あともう一人。わからん。
江戸の浮世絵で、有名な3人の女幽霊というのがこれら。でも肝腎なあと一人がわからん。
誰だっけ。
不細工且つ嫉妬深くて、最終的に毒殺されたという概要は覚えているんですが。
わからん!

*ところで当時の毒ってのはなんだったんでしょうか。
トリカブト?ガマ?
トリカブトがお手軽なのかなあ、と思いますが。
忍者も使っていた…らしい。


提灯=幽霊という組み合わせの解説があったんですが、どうやらこれは歌舞伎の舞台演出が絡んでいるようだ。
というのは、当時の演出として、提灯がぼうっと明るくなって、幽霊が…というのはテンプレの表現だったらしい。
まあ特撮なんてない時代ですから、昔の人は知恵を絞った訳ですなあ。

あと小生は知らなかったのですが、「小平次」という幽霊が有名らしい。
この人は売れない役者だったのだが、妻の不倫相手に惨殺されるという何とも言えない最期を遂げてしまう。
そして自分をブッ殺した奴に恨み晴らしに行くという。
浮世絵や歌舞伎で定番のモノらしい。
いまいちフィクションの人物なのか、ノンフィクションなのか…わかりませんが、まあ…。

興味深いことに「幽霊は上から来る」そうで、上から来てそのまま相手を吊るし上げたり、首を絞めたり…なんてコトをするんだと。

これまた歌舞伎の演出が元ネタだそうだ。
(もしかしたら本当に上から来るのかも知れないけど)
うーむ。「上から来るぞ」というのは、某クソゲーを思い出しますが…
まあ、確かに生身の人間ならば首を絞められたら、そらひとたまりもないですな。

でも幽霊だったら実体がないし、すり抜けてしまうのでは?と思うのですが。
実際、浮世絵を見ていると刀が効いてないシーンがありました。
でも首絞めはできる。フォースか?


基本的に幽霊たちは、不幸な最期を遂げているので、恨みがいっぱい残ってます。
そんでまあ、浮世絵では大体(対象の)人間に復讐を果たすシーン描かれています。
矢鱈カラフルなんですが、おどろおどろしい場面をカラフルに描くモンだから、当時の江戸庶民はそこそこビビっていたんでしょうか。

今の感性からするとギャグみたいに見えちゃうモノもありますが。
その辺はホラーとシュールが結びつきやすい…ってことも要因なのかな。

*全然関係ないけど、近年のホラー映画では、幽霊が無関係の人間をバンバン殺しているモノありますよね。
呪いが波及する、ってことらしいです。

正直、この手のホラー映画って納得いきません。
呪いというのは、やっぱり対象がちゃんとあってこそ…だと思うんですが。
自分だけ?
恨みを晴らすのならば、正規の方法で晴らしてほしいものだ。


戻ります。
幽霊以外では、お化けも出てきます。
お化け、というのは「化物」という認識でいいんでしょうか?
化けて出てくるヤツらの中には、基本的に人間の姿をしているケースもあります。
今回の展示では「化け猫」なんかがそうです。
平常時は人間の姿を借りていて、正体がバレたらトンズラする、って場面が描かれてました。
この手の場面様式ってこの時代からあったんですね。

人間に化けていない化物も勿論おりました。
コイツらは、それこそ「化けて出る」ってことなのかな。
これを言い出すと、化けて出てきてないのに、化物とはこれいかに、ということになるので、今回はあまり言及しない方がよさそう。

単純に悪さをするとか、人を襲うとか、デカイとか、「化け」って名前に付けられる理由は諸々あるかとは思いますけど。
怪異の存在になってしまった時点で、「化け」って付けられてしまうのかも。

化け猫、化け狐、化け狸、化け山椒魚、etc.
うーむ…やっぱり「化物の定義」が気になる。


こういったバケモノを退治する人々も浮世絵では描かれておりました。
あるいは対峙している状況とかも。(オ、ナイスギャグ)

平清盛なんかは幾つも取り上げられていたので、当時の社会で人気だったんでしょうね。
清盛が描かれている作品の共通事項としては、よく見たら髑髏とか、風景の中に怪異が紛れているとか。
例えば雪や波が髑髏になっていて、それを清盛がガン飛ばしている。
そんな構図が多々ありました。

解説によると、浮世絵というのは、近くからでも遠くからでも楽しめる…
というのがコンセプトらしいです。凝ってるなあ。


あとは妖怪。
百鬼夜行を描いていたり、妖怪退治の武士たちを描いていたり。
正直、もう妖怪と化物の違いがわかりませんが。
あ、そういえば英語では「goblin」って訳されてましたね。
ゴブリンかあ…他にもっとイイ訳語はないのか、って思いますが。
(これは日本におけるゴブリンのイメージのせいかな、って気も)

なお、霊力は magical power で、人魂は fire ball だったと思います。
う~む、これはこれは。
あ、霊力はholy powerだったかも?ちょっと記憶が曖昧。

まあ文脈で細かいニュアンスは変わるでしょうね…。訳者の意向でも。
実際ググるとどっちも出てくるので、わかりません!

まあ、日本で言う「霊」という良くも悪くも様々な概念を包括する語を上手く伝えるのは難しいかも知れませんね。
幽霊とか霊力とか霊長類とか、色々使われれてますし。

何にせよ、magical power っていうのは潔いかも知れません。
わかりやすいし。


閑話休題。
幽霊が割と暗~いカンジで描かれていたのに対し、妖怪たちは妙にポップというか、ファンキーというか。描かれ方の違いに驚きました。いや、まあ驚いていないんですが、言葉の…表現の綾です。
幽霊と妖怪に対するイメージの違いが出ているのかも知れません。

妖怪は地域によっては山の神とか、自然神という扱いもされるんでしょうし。
「畏れ」の対象なワケで。
※「畏」というのは、「異なる」モノを表す字なんですって!曰く白川。

でもそれにしても、現代の人が見てもどこか可笑しい・可愛らしい印象を感じるくらいなので、これを「畏れ」と言うのは相当無理があるような。自分だけ?
件の浮世絵をお見せできないのが残念である。

具体的に述べると、
・妖怪たちだけタッチが違う、表情が間抜け・和やかで、厳めしい武士とのコントラトが生まれているワケである。

・カエルがワンサカ描かれているのだが、鳥獣戯画のカエルさんのように、どこかポップなのである。

さて、共感者はいるのか。


ところで。今回開催初日に行ったワケなのだが、その理由はギャラリートークにあった。
芸術学博士・日本風俗史学会理事の山本野理子氏が、展示の解説を行ってくださったのだ。

その際氷解した疑問というのが、浮世絵と怪談の成立順序である。
怪談や心霊話が流行った結果、浮世絵が人気を博したのか。
あるいはその逆か。

答えはと言うと、ホラーが大前提ということである。
というのも、各地に伝わる怪談や心霊といった怪奇の類が、「読本」という形で可視化され、それが歌舞伎によって舞台化される。
この場景を浮世絵という形に作り上げたのだ。

ここからは推論ではあるが…。
怪談は口伝が基本だったであろう、いくら面白い・おっかない話があったとしても、
なかなか伝わらない。伝えられないだろう。ご近所レベルでしか無理じゃなかろうか。

さらには伝える人によっては面白さが半減してしまう。
(今でも、怪談話をするのがヘタクソな人、いますよね)
みんながみんなが、稲川淳二ではないのであるから。
とまあ、色々デメリットはあっただろう。

それを文章で表現しまえば、(文字さえ読めれば)等しく、面白さ・おっかなさを享受できるワケである。
ただ、やっぱり識字のカベがあるであろうから、歌舞伎という「見て・聴いてわかる」モノで表現すると。

最後に、今度はマネーの問題がある。
そこで浮世絵という比較的コストも安そうなメディアを使うワケだ。
おお、この流れは納得できそうだ。

ちなみに、浮世絵は元の絵を描く人、彫る人、刷る人、色付けする人…など細かく作業が分化されていたようである。
まあ、ただ結局「紙」として売るワケなのだから、そんなにコストは高くないと思うんですよね。
版画だから大量にコピーが作れるし。ある程度安くないとみんな買わないだろうし。

なおトレーディングカード的な浮世絵もあったらしい。神社などで交換したという。
日本人は本当に変わらんな!


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ところでこの前KISSと浮世絵がコラボしてましたね?
激ロックの記事をどうぞ。

う~んロックだ…。
KISSはそもそも歌舞伎みたいなメイクだから親和性は高いっすね。
浮世絵なんだから、もっと沢山刷ってくれよ!と思いますが、
そうすると価値が下がる…という。
さすがKISS、商売上手である。

余談も余談だ…。

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